人々の顔が消えた夜 / Shibuya Midnight Blues
6 時間前
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渋谷の街はいつ訪れても新しい顔でいっぱいだった。
スクランブル交差点を行き交う人々はいつでもスマホをかざし
風物詩となったこの光景の中で笑顔を絶やさないでいる。
わたしは相変わらずオールドフィルムカメラを抱えているが、この日は車で訪れていたので
珍しくデジカメも持っていた。
しかし、わたしのデジカメはこの日も人々の姿を鮮明に写そうとはしなかった。
夜の光は煌々としていたが、その派手さの中で彼、彼女たちの笑顔は
最初から笑っていなかったようにも見えた。
その顔は一瞬にして消え去ってしまう。
渋谷の混雑の中で、車はだいぶゆっくりと走行していたにも関わらず。
ちなみにまだ夏の匂いは完全には消えておらず、それは写真の人々の格好を見れば一目瞭然で
この日は車の中にいても何だか湿度を感じて仕方なかった。
暑さ、それが和らぐのはたぶん来週に違いない。
わたしは急にそんなことを思い立ち天気予報をチェックする。
来週も雨、という予報が出ているが、最近はもう雨のことすら考えなくなってしまった。
「そろそろ秋に違いない」ということばだけが頭に過ぎる。
するとこの写真に写り込んだ人々の姿は急に秋色に変わり、
わたしは今回もまた一つの季節を終わらせただけ、ということに気づくのだった。
そんな時、遠くの方でスクーターが走り去る音が聞こえてくる。
スクーターを乗る人の姿はほぼ毎日見かけているのだが、未だその顔を覚えられずにいる。
わたしはふと、そんなことも思い出す。




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